肝臓は沈黙の臓器とも言われ、その理由は悪い部分が生じても他の部分がその機能を補い、予備能力が優れていることからで、病気が進行するまでなかなか自覚症状があらわれないことが多いことから由来となっていると言われています。
日本の肝疾患の死亡は年間約5万人ほどで、多くが終末期の肝硬変や肝細胞癌によるものです。ただこれら疾患は慢性肝疾患をベースに発症を来すため注意が必要です。
慢性肝疾患の原因は多彩であり、ウイルス性肝疾患、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎、自己免疫性肝疾患などがあります。肝硬変・肝細胞癌の原因もウイルス性肝疾患が多かった時代から非ウイルス性の肝疾患が占める割合が増えています。これは肥満人口の増加や生活習慣の変化による脂肪肝の罹患率が増えているからと言われています。
今や脂肪肝は最も頻度の高い肝疾患となっており健康寿命を延ばすためにも健康診断などで定期的に肝臓が正常に機能しているかどうかを確認することはとても重要です。健康診断の結果、肝機能の異常を指摘され、要治療・要精密検査の指示のあった方は、症状がなくても速やかに医療機関を受診してください。経過観察の指示があった方につきましても、指示されている期間内に受診することをお勧めします。
肝臓内科