気管支喘息
気管支喘息は呼吸の通り道である気道(気管、気管支)にアレルギーによる炎症が起こり、気道が過敏になることで、ハウスダストや花粉、動物の毛などのアレルギーの原因物質を吸い込むことや、風邪や気温・湿度の急激な変化などの刺激に対し、気管支がせまくなり、咳や痰が出る・気道が狭くなることを繰り返す病気です。時間の経過とともに改善と悪化を繰り返すことが特徴で、症状がある時もあればない時もあります。夜間から早朝にかけて悪化することが多く、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)、呼吸困難、咳・痰、喉や胸がつまったような症状が起こります。
喘息の治療は発作が起こったら止めるという治療だけではなく、慢性的な炎症を抑えることによって肺機能の低下や喘息死を防ぐための発作が起こらないようにコントールすることも非常に重要です。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は鼻粘膜のⅠ型アレルギー性疾患で、発作性反復性のくしゃみ・水様性鼻汁・鼻閉の3つが主な症状です。原因となる抗原はハウスダスト、ダニ、スギ・ヒノキ科の花粉など多数あります。
アレルゲンとして多いのが「花粉」「ダニ」です。花粉は季節性に飛散しているので「季節性アレルギー性鼻炎」、ダニは1年中存在しているので「通年性アレルギー性鼻炎」といいます。花粉としてはスギ(2~4月)、ヒノキ(3~5月)、ブタクサ(8~9月)が代表的ですが、それ以外には雑草花粉(イネ科、キク科など)でも起こることがあります。ダニは1年中家屋に存在していますが、高温・高湿で繁殖するため特に8~9月に注意が必要です。
アレルギー性結膜炎
花粉などの季節性のアレルゲンやハウスダウトやカビなど通年性のアレルゲンが目の表面の結膜に付着し、アレルギー反応が生じて目の充血やかゆみを生じます。
ドライアイ(いわゆる“かわき目”)により、涙が減少し、目の表面が荒れると、花粉などのアレルゲンが目の中に長くとどまり、アレルギー反応を引き起こしやすくなります。また、アレルギー性結膜炎が悪化することで、目の表面に炎症などが生じて、さらに乾きやすくなります。
ドライアイの方では、アレルギー性結膜炎が悪化し、さらにドライアイも悪くなるという悪循環が生じやすくなるため注意が必要です。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは、強いかゆみのある湿疹が、慢性的によくなったり悪くなったりを繰り返す病気です。アトピー性皮膚炎の発症の背景の一つとして、「アトピー素因体」があります。アトピー素因とは、家族や本人の既往歴に気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎の1つ以上にかかったことがあることを指します。またアレルギー反応を引き起こすIgE抗体を産出しやすい体質であることもアトピー素因とされています。
大人になってからアトピー性皮膚炎を発症する原因には、もともとアトピー素因を持っていた人が社会人になるなど、生活環境の変化や慢性的なストレス、生活リズムの乱れ、ホルモンバランスの変化によって引き起こされることがあります。また、日々の仕事が忙しくて継続的な受診や治療が難しくなるために、症状の悪化を引き起こしたり、慢性化したりする場合があります。
食物アレルギー
成人の食物アレルギーは、初めて食べたときに発症することすることが多い小児の場合とは異なり、それまでは食べても問題なかったのに、ある日突然アレルギー症状が出現して発症します。
症状が本当に食物アレルギーによるものなのか、食物アレルギーだとすると原因の可能性があるのは何なのか、を細かい問診で判断していきます。
成人の食物アレルギーでは、食物依存性運動誘発アナフィラキシーというタイプが多く見られます。原因となる食物を食べたたけでは症状は出現せず、その後に運動をするとアレルギー症状が出現するというものです。代表的なものは小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーで、その他、エビやカニなどの甲殻類、果物などがあります。
誘発する因子も運動以外に、飲酒、痛み止めの内服、寝不足、疲労、生理(女性の場合)などがあり、診断に難渋することもあります。
蕁麻疹
突然赤みのある発疹が皮膚の一部、もしくは体のあちこち出現し数分から1日程度で跡形もなく消えていき、通常は4週間以内で治る急性蕁麻疹や、それ以上続く慢性蕁麻疹もあります。皮膚に存在する細胞より何らかのきっかけでヒスタミンなどの痒みやむくみを起こす物質が分泌されることで起こります。これらの物質が神経や血管を刺激するため、蕁麻疹が発症します。
蕁麻疹が誘発される原因はさまざまなものが考えられますが、「アレルギー性」と「非アレルギー性」に分けられます。アレルギー性は、アレルゲンとなる物質を摂取もしくは接触することで発症します。摂取や接触によってすぐに症状が現れることもあれば、数時間後に出ることもあります。
アレルギーの原因となるものは食べ物であることが多く、サバなどの青魚、エビなどの甲殻類、卵、牛乳などさまざまな食べ物が挙げられます。また、植物や薬などがアレルゲンとなる場合もあります。
非アレルギー性の場合、原因が特定できないような場合もあります。多くは皮膚を引っ掻いたことや、急な温度差、日光など物理的な刺激によって発症します。また、汗をかくことによって引き起こされることもあります。
当院では内科診療をベースにアレルギー疾患の対応を行わせていただくため、当院で追加検査が困難な場合や治療抵抗性、難治性が予想される場合も含めて連携している医療機関や皮膚科・眼科・耳鼻科に相談させていただくこともありますのでご承知ください。